自句自解170 盆の入り・・
盆の入り村の万屋賑わいて
(ぼんのいりむらのよろずやにぎわいて)2006・8月
2006年の句だけど、内容はこの街に越してきて間なし。もう40年近く前の風景です。
当時はほんに長閑な土地柄でした。
隣のA市と当地をつなぐ路線バスが通っているのね(今はその路線は無くなった)
ある日の乗客は私と、もうひとり、そして前方にお爺さん
(今では人の事《お爺さん》と呼べる立場じゃないけど、その時は私も若妻だった)の3人でした。
呑気な道中の終盤、お爺さんが降車のボタンを押しました。
でもバスは停留所には停まらず、そこから100メートルほど先で停車しました。
そこはお爺さんの家の前。
運転手さんは「ちょっと、すんまへん」と後ろの乗客2名に手を挙げ、お爺さんの荷物を下ろす手伝いを始めました。
大荷物です。しかもALL風呂敷包み!
乗客の男性が「てったいまひょか」(お手伝いしましょうか)と腰をあげたときは
「お待たせいたしました。ご協力ありがとうございました」とバスが出発するところでした。
大荷物の脇に立つお爺さんが手を振っていました。
いまでこそ私の住む新興住宅地には郊外型の大型商業施設や商店があるけど、宅地造成が始まったころは何でも取り扱う「万屋(よろずや)」さんが集落にポツポツとある程度だったのです。
バスのお爺さんの家もそんな万屋さん。
仕入れが風呂敷包みでって!素敵過ぎません?
顔なじみの運転手さんが時々こうやってお手伝いしていたのかな。
いまだったら、バス停以外に停車するなんて道交法なんたら違反だとか、社内規定違反だとかですぐに通報されちゃうのよね
あたし「通報」って言葉嫌いです。今の若い奴すぐに通報しやがる。間違っていることが善いことだってあるんだ。
盆支度でなにやかやと入用なものを取り揃えて並べる
あの、お店はとっくに廃業して、5・6間幅くらいの戸口は今でもずーっと木戸が下ろされたままです。
この街、いいなあ・・と思った最初の出来事でした。
季語・盆の入り(初秋)
ほな。
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しばらくの間、俳句(自句自解)に特化して書きます
自分の覚え書きです。
2022秋
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