自句自解34 廃業の・・・
「廃業の知らせ届きぬ落ち葉掻く」
(はいぎょうのしらせとどきぬおちばかく)2002・11月
俳句は日記だと教わった。
20年前の事なのに、あの日郵便屋さんから受け取った場面まで覚えている。
高校の同級生
関西の大学から東京に就職した。
私が東京に出張した折に一度会ったことがある。
新宿駅を出ると当時三井物産と住友ビル。「高層」という建物はその二棟しかなかった。(都庁ももちろん建っていない)
その一つに私の会社があり、仕事の終わりに紀伊國屋書店の楽譜売り場で待ち合わせた。
彼が連れて行ってくれたのは、そのビルの高い階にあるレストランだった。
「さっき私、此処から出て来てんで」と言って笑った。
ワインを飲み「私ら大人になったな」と言ってまた笑った。
お互いが家庭を持ち、数年後、彼はとある高原でペンション経営を始めた。
生涯一サラリーマンじゃなかったの?
うん。昔からの夢やってん・・
奥さんと二人でよく頑張っていたがついにペンションをたたむことになる。
それが、この句にある今から20年前の出来事である。
その後、学習塾を経営した・・・
つい先日は「いよいよシュウカツに入りました」との知らせ。
シュウカツとは終活。
住まいを小さくし、隠居三昧の暮しを目指すらしい。
そのうちにね。いつかね。と言いながら、会う機会はさほど無かった。
サラリーマン・ペンションオーナー・塾講師・隠居
どれもこれも、穏やかで心優しい彼によく似合う。
人生は長くて短い。
懐かしく、よき友F君。交流の一ページを句にしておいて良かったと思う。
季語 落ち葉掻く(初冬)
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コメント
日記は3日どころか2日で終わってた私ですが思い出しました。おたまちゃんの10年位前でしょうかたしか新宿西口に当時淀橋浄水場がありました。あの場所で田舎の高校の先輩とすれ違いました。あれれ?もしかして…と振り向いたら彼方も振り向いて、でも当時のボーイフレンドに如何したの?と聞かれううん何でもないのとそのまま。懐かしく思い出しました。先輩お元気かしら。最近昔の事がやけにはっきりと思い出します、困ったものです。
投稿: パコ | 2022年11月 2日 (水) 08時33分
★パコちゃんへ
広い都会の空の下で郷里の知り合いとすれ違うなんて奇跡のような出来事
でも結局は結べなかった「縁」
人生ってドラマチックですね。あの時声を掛けなかったのも自分の選択なのですね。
この歳になると細いご縁でも大事にしたいと思う今日この頃です。基本的に自分って人間好きなのだと思ってる( ´∀` )
で。93歳のお三味線の先生のお家に遊びに行っていました(誕生日のお祝い)
いつまでも覚えている思い出は良い思い出で、思い出せない思い出は覚えていなくてもよい思い出なのねきっと。
ノスタルジーに浸るのは精神衛生の観点から「癒し効果」があるそうですよ。子どもの頃に見た風景とかね。
だからパコちゃん!困った事ではないですよ!
投稿: おたま | 2022年11月 2日 (水) 16時27分