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2022年11月

2022年11月15日 (火)

自句自解48  遠吠えや・・



 

  遠吠えや一戸に一個木守柿 

(とおぼえやいっこにいっこきもりがき)2019・11月

 


冬に入り、あんなにたわわに生っていた柿の木に
柿が一個だけ取り残されているのをみかけます
木に対するお礼ような、命を継ぐ祈りのような
餌が少なくなった鳥たちへのプレゼントのような・・

Img_3951

柿は晩秋の季語ですが木守柿は初冬の季語になります。
「きもり」「こもり」どちらで読んでもいいそうです。


鳥獣狩猟の解禁日は毎年決まっているのでしょうか
一般に11月の中頃だと思います。
木守柿が見られるようになると猟期がやってきます

狩猟に連れて行く犬にもその時期がわかるのか
昔、オオカミだった記憶が呼び覚まされるのか・・・

 「軽トラに犬乗せ猟期来たりけり」

猟期も初冬の季語になっています
軽トラの賑やかなエンジン音。前のめり姿勢で運転する猟師さん。
助手席には飼い主にも劣らぬ気力十分の犬。

次次と林の中に入っていくのです。
私の知る猟犬たちは大体中型で、絶対にペットショップでは手に入らないタイプ
精悍な顔つきが、ものすごく、カッコイイです。

 

 

次の更新は12月1日の予定です。


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2022年11月14日 (月)

自句自解47  吾のみが・・



今日は吟行句会で丹波の某所へ行きます
(ブログはいつも当日の朝に書いて、正午の予約投稿にしてますねんよ。知ってた?つーか。どうでもいい?)

 

今月の吟行幹事はアタクシ。きれいなだけの未亡人です。
新蕎麦が食べたい!それだけの理由で「満場一致の賛同」を頂戴し吟行の行き先が決まりました。
本末転倒。

 

 「吾のみが知る蕎麦処櫨紅葉」
(われのみがしるそばどころはぜもみじ)2019・11月

 

季語・紅葉(三秋)
紅葉したハゼの木は本当にきれい。ハゼ紅葉にはちょっとした思い入れがあります。
その昔、和ろうそくを作る町で詠んだ句がちょっと褒められちった(えへへ(〃´∪`〃)ゞ)
生まれて初めての吟行でした。ビギナーズラックっていうやつやな。
吟行といえばBANK。子規庵といえばおうどん屋さんと思っていた頃です。
東京からどかどかといらっしゃった皆さんが。やおら手帳と鉛筆をとりだされるのを
「あの方たち、何してはるのん?」と訊ねたあたくし。

ハゼの実は蝋燭の原料になるのですよ。

もう大昔のことです。

 

で。本日の句ですが「紅葉→秋深まる→新蕎麦」と連想していただければ嬉しいです。
中七・下五が漢字だらけでゴツゴツしていますか?
いいんです。

 

では。いってまいりま~~す。

 

(以下、11月15日追加しました)兵庫県丹波篠山市内

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2022年11月13日 (日)

自句自解46  幼名で呼び止めらるる・・



  

  「幼名で呼び止めらるる町小春」
(おさななでよびとめらるるまちこはる)2014・11月

 

母が亡くなってから実家に、実家方面に戻ることもなくなった。
実家と言っても幼いころからそこで育ったわけではなく、都合6・7年をそこで過ごしたに過ぎないのだが、卒業した中学校があり今でも同級生の幾人かは地元に残っている。
友人や顔見知りのおばさんたち(ほとんど鬼籍だけど)は「ちゃん」付けで呼んでくれるし
私も、爺さんになってしまった友人に「〇〇坊」なんて呼ぶ。
結局、地元って家とか建物とかではなく人なんだろうな。


どうしても馴染み切れなかった私の「地元」
今でもあまり地理・地形がよく分かっていない。
(6・7年のうち3年間は京都で暮したせいかもしれない)

だのに友人に「〇〇がなつかしいわ」と言えばちゃんと調べて
「今、こうなってるよ、あのお店はないけど〇〇が残っているよ」
なんて見て来てくれて「今度案内してあげる」と言ってくれる

 

中学1年の2学期。転校生だった私を3人の友だちが代わる代わる自転車の後ろに乗っけて(私は自転車を持っていなかった)町案内をしてくれた。出身の三つの小学校をグルっと廻り紹介してくれた。
あの頃は校区も広かった。
途中で誰それの家へ寄ると、その子たちもついて来て結構な人数になった。

あたし、みんなに優しくしてもらったんだな。
いまごろ気づく。

 

 

季語・小春(初冬)

 


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2022年11月12日 (土)

自句自解45  川音へ・・



 

   川音へまつすぐに伸び猪の道
(かわおとへまっすぐにのびししのみち)2016・11月

 

人間よりイノシシのほうが仰山住んでるやろ
と、言われるところに住んでいます。
そんなことはありません。人間の方が多いと思います。
信号もコンビニもあります。
大阪にも神戸にもピャッ!と行けるもんね。

俳句を作る方にはうらやましがられます
都会では触れることのない季語に出会えるからです。
ちょっと行けば、猪の蒐場(ぬたば)がみつかるし、畑には鹿の角が落ちているし、雉(キジ)の親子にひょっこりと出会うこともあります。
動物だけではありません。そりゃあもう・・季語だらけ


季語まみれの地に生きて、俳句が出来ぬ
どういう事やねん!ピシッ・ピシッ(己を鞭打つ音)

 

林の中から猪がかけ下りて川へ向かったようです。
イノシシの全力疾走、みたことあります?
ウサイン・ボルト顔負けですよ。猪突猛進。
ちなみに、カバの全力疾走も凄いんですってね。死ぬまでに一度見て見たい。
イノシシの通った道はそれはもう迫力があります。

季語・(三冬)
私は文語体をつかうので小さな「っ」は大きな「つ」で表記します。

 


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2022年11月11日 (金)

自句自解44  嚔してマニュキア・・・



 

  嚔してマニュキア爪を食み出せり
(くさめしてまにゅきあつめをはみだせり)2019・11月

 

季語・(くさめ)三冬
誰かにウワサされているときの、あのくしゃみです。
3回続いたら「そりゃ風邪だ」とルル三錠をどうぞ。

マニュキアを塗るという緊張の一発勝負と自分では制御できない鼻の粘膜で起こる反射運動。
は・は・はっくしょん大魔王!

も~嫌でございますわ。くそったれ!でございますわね。奥様。

今どきは男の子でも可愛いマニュキアをしているのを見かけます。
電車で隣の席の男子高校生が「黒」「緑」「シルバー」をそれぞれの爪に塗っていました。
わ!お洒落・・。
昔はマニュキアしてる男性なんて・・ギタリストしかいなかったよ。

前にもちょっと書いたけれど「爪を塗る」という行為はどこか内省的である。って。
これって女だから似合うのであって(以下。時代錯誤的偏見です)大の男がチマチマやってんじゃねえよ!質実剛健を旨とせよ!女々しい(差別用語)たらありゃしない。爪塗る前に心を磨けよ。男だろ!

ああ。ジェンダーフリーの時代にどうしても追いつけないワタクシ。
どうぞ。男性への期待度が異常に大きいBBAのひとり言だと思し召し笑って許してくだされ
男だろ!(また言っちゃった)

 


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2022年11月10日 (木)

自句自解43  おでん酒・・



 

  おでん酒独居の錠をはやも掛け
(おでんざけどっきょのじょうをはやもかけ)2020・11月

 


おでん。当地では関東炊きといいます。
かんとうではなく「カントだき」
関西の人はイラチ(せっかち)やから言葉も縮めます(知らんけど)

おでんは田楽から来ているので串に刺すのが本来の姿かなあと思いますが
私は赤塚不二夫の「おそ松」君のチビ太しか、そんなもの(串刺しおでん)を持っている人をしりません。


なんですってね。
関東では三角の厚揚げとか三角のコンニャクとか入れないのですってね。ほんまですか?
そして関西では「ちくわぶ」というものがどんなものなのか知らない人多いです。
しらたき?なにそれ。コンニャクと違うのん?
はんぺん?そんなふにゃふにゃした・・
てなものです。
そうそう、昔はコロ(クジラの皮)がよく入っていたけど、今や高級食材でもう何年もたべていません。
オバケ(知っている人は知っている)は時々「さらしクジラ」といって魚屋さんにでています。
コロは「さえずり」というゆかしい名前に身を変えて高級おでん屋さんで食すことができるそうです。

ゆうても、おでんは家庭の団欒食ですわね。
遊び呆けて帰りが遅くなる日は前もっておでんを沢山炊いておくんです。
おでんとカレーは主婦の味方でした。

 

季語・おでん(三冬)
この句は濁音が4つも入ってなんか野太くていいでしょ(自己満足)
独居を(ひとり)と読んでもらった方がすっきりするけれど
暴走族の「夜露死苦」みたいだからこのままでいいんです

今夜は「おでんです」と言ったら姑は必ず「おたまちゃん!のもか!」と言いました
のもか!は「呑もうか」です。
其のころは「独居」じゃなかった。

ささ。今夜は腰を据えて・・その前に戸締り戸締りってね。
なにしろ独居ですさかい。

 


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2022年11月 9日 (水)

自句自解42 落ち葉踏む・・



 

  落ち葉踏む子犬は子犬の音たてて
(おちばふむいぬはこいぬのおとたてて)2004・11月

 


フクちゃんは野犬が産み落とした子。
小学生たちが段ボール箱でこっそり飼っていた。
兄弟が5匹いた。
大人達がやってきては次々引き取られ最後に残ったのがフクちゃんでした。
ハアハアと息を切らせて学校から帰ってきた息子に手を引っ張られて「秘密基地」へ。
段ボールの中のその子を抱っこした瞬間にわが家の家族になりました。

数年後にその様子を見ていたという人が現れて、お礼を言われました。
その人はすでにフクちゃんの兄弟を一匹引き取っておられました。

それで兄弟(正確には姉妹)対面をしたのだけど
まあ。飼い主によってこんなにも性格に差がでるものかと・・
深~く反省をしました。
あちらは、それはもう上品でお利口で・・
顔も姿もそっくりなのに・・・

ま。いいんです。フクちゃんは最高のワンコだったから。

 

季語・落葉(三冬)ちなみに枯葉も冬の季語です。

 


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2022年11月 8日 (火)

自句自解41  砂糖黍畑・・・



八重山諸島での句のつづきです。
11月。冬の初め。
長いこと生きて来て、あちこち旅行をしたけれど(国内で)もう一度行って見たいのは
冬の初めのここです。
パスポートの要らない外国だと思いました。
景色も植物も食べるものも珍しくて
冬の初めの穏やかな光が海にきらめいて・・とても良い旅ができました。
もし、これが「夏」なら、また違った句ができたかな。
冬の初め。今この季節が好きなのは八重山の旅の思い出が大きいかもしれません。

短日の渡船に観光客満ちて(季語・短日)

冬初め接岸の船揺れてゐし(季語・冬初め)

万屋の寒の卵と下船せり(季語・寒卵)

  ⇑ 船着き場で作った3句です。

 

  砂糖黍畑どこまで昼の月
(さとうきびばたけどこまでひるのつき)2010・11月

 

砂糖黍は甘蔗とも書き、秋の季語
一緒に旅行をしたTもっちゃん。私のお姉ちゃんみたいな人。
元気かな?コロナ以降会っていません。
10回以上一緒に海外旅行をした旅仲間です。


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2022年11月 7日 (月)

自句自解40  冬立つ日・・



今日は立冬 です。(たしか・・)
「きっぱりと冬が来た」と(どなただっけ?)ある詩人が言いました。
冬と「きっぱり」ってぴったり(偶然のオヤジギャグ)

昔は春が好きだった。それも早春。二月。
のり子先生が「年齢を重ねるにつれて冬の俳句(実作)が多くなった」とおっしゃっていた。
やっぱり、人って自分と季節を重ね合わせるのかしら。

まあ。元気に冬を迎えたいとおもいます。

 

12年前の立冬。あたしは呑気に南の島を旅していました。

 

  「冬立つ日海空頒かつ波白く」
(ふゆたつひうみそらわかつなみしろく)2010・11月

 

10-082
八重山諸島の海2010/11

 

自分で言うのも何やけど、ブログって楽しいわ

旅日記を書いていました。旅行のことがあっという間に思い出せる。
たのしかったわ~。山ほど買ったシーサーどうしたんやろ・・家に一つもない・・

って。ブログ読み返したら「買わなかった」って書いている
え~~~?そうだったっけ???

11月の旅やのに半袖着てる。さすが南国。
ブログを読み返し、写真を見直して驚いたこと。
髪の毛長いやん!あたし。
若いやん!タニモッチャンもアタシも。
ホテルが豪華すぎてお姫様気分やったv( ̄Д ̄)v イエイ
食べたものが何もかも美味しかった。

そして最も驚いたことに、・・・この時
俳句を仰山作ってる。

季語・冬立つ日(初冬)
果てしない空と海の境にきっぱりと白い波。
アタシもこの景色のように広い心で正しく生きよう
なんてね。

 

 

関連記事・重山旅日記

君よ知るや南の国
誰のものでもありゃしない
分け入ってもマングローブ
お料理サイコーさ~
南は暖かいよ


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2022年11月 6日 (日)

自句自解39  質屋一軒・・・



Noha-139
                            (兵庫県伊丹市内)

 

   寺町に質屋一軒花八つ手
(てらまちにしちやいっけんはなやつで)2019・11月

 

生まれてただの一度だけ質屋を利用したことがある。
正確には「私が」ではなく「ひっちゃん(夫)が」である。

朝起きてすぐ「どこかに行こっ!」という話になった。
新婚時代である。
今日明日と2連休だい!

あの頃、社会全体が週休二日制を目指していて
ありがたいことに二人の勤務先は他に先駆けてそれが実施されていた。
最初は月に2回。そのうち3回。そして完全週休二日制に移行していった。
それまでは土曜日は「半ドン」
この言葉も死語だわね。

ところが、お金がない。
なぜなら、私の趣味が「貯金」だったから。

信託預金は今では夢まぼろしのような高金利だった。
子なし、共働きの私達には楽しく貯金が殖えていった頃だ。

貯金し過ぎてお金がない!
でも遊びに行きたい。

そこで初めての「質屋体験」となる。

二人ともドキドキだった。私は車の中で待っていたような記憶がある。
預けたのは、彼の皮のジャンパー。いまはブルゾンっていうのかな。
ストンウォッシュ仕立てでなかなかお洒落だった。
ニコニコ顔で一万五千円を握りしめて戻って来た。
そこから
何処に遊びに行ったのかまったく思い出せない。

預けるには預けたが「受ける」という事を知らなかったので
(知らないわけはないんだけど・・忘れていたのか?)
二度とあのジャンバーを着たひっちゃんを見たことがなかった。
大笑い( ´∀` )

 

季語・八つ手の花(初冬)
わが家の裏鬼門に八つ手を植えています。
家を建てたとき「こんなもん植えまんのか」と造園屋さんに笑われたけど、私は葉っぱも花も大好きです。
子どもの頃は八つ手の花がおままごとの御飯になりました。
今では鳥さんの仕業かご近所のお庭にちらほらと「八つ手」が育っています。みなさん大切にして下さっています。

 


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2022年11月 5日 (土)

自句自解38  白き玉出て・・



 

  「小春日や白き玉出て六等賞」
(こはるびやしろきたまでてろくとうしょう)2014・11月

 

みなまで言うな!
と、よく言われます。
何もかも言ってしまわないのが俳句を作るうえでの常識です。

この句は、「抽選会のガラガラを回したら白い玉がでました。六等賞でした。暖かい小春日のことでした」
と言うております。
白い玉は六等賞。と言う答えを出してしまっています。
それでは、あきません。
見込みがおへん。おたまちゃん。

じゃあ。どうすればよかったのでしょう
私の気分は「な~んやポケットティッシュか・・」というガッカリ感。
それを詠めばいいのです。

・・・・

・・・・・・

詠めるかいっ!
それができれば苦労はしません。

 

季語・小春日(初秋)

 


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2022年11月 4日 (金)

自句自解37  同意書を・・



 

 「同意書を記す病室林檎の香」
(どういしょをしるすびょうしつりんごのか)2013・11月

 

前から思ってるんだけど「保証人」ってなんなん?
当人が何かやらかしたとき「ごめんなさい。私が代わりに謝ります」って人?
入学・就職・・・係累の少ない我が家はその都度困りました。
そうそう。息子が小学生の時、肺炎で5日間入院したのね。
その時「保証人が要ります」しかも市民病院だったので「市内在住者に限る」と言われました。
当地へ転居して間がなかったし知り合いもいない。
お隣のご主人が快く引き受けて下さったけどね。
切羽詰まって厚かましくお願いしました。

東京の次男の部屋の賃貸契約は「保証人の代行をする会社」が保証人なんだって。
お金で方がつく世の中です。
そういえば昔は(今もか?)借金の保証人になって大変なことになったという話もよくききました。
保証人ってやっぱり重~いお役目なのね。

で。俳句だけど
猿じゃなかった兄が木から落ちて腕を骨折した時の事です。
手術となると、山のような同意書にサインをするんだわ。
1ミクロンほどの文字がならんでいるけど、全部読めるわけじゃない。
大体の説明を受けて機械的に次次サイン。

しかも数か月後に建て替えによる取り壊しが決まっている朽ちかけの病舎。
こんな病院で治るんかいな。と。
立派な建物と立派な(腕のいい)医者が比例していると勘違いしているアタシ。

三歳から一緒に育ったわけでもない兄
兄妹という感覚がないのが正直な気持ちです。
しかもてんこ盛りの人達に囲まれて生きている人なのに
こんな時(同意書のサイン)はアタシなんだ・・なんでやねん!

きっと、前世の行いが悪かったからだ。と自分を言い聞かせた
あの、暗~い病室を思い出します。

季語・林檎(秋)

 


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2022年11月 3日 (木)

自句自解36  オカリナの・・



 

  「オカリナの指ひらひら小六月」
(おかりなのおゆびひらひらころくがつ)2017・11月

 

季語・小六月(初冬)は小春のことである。
小春日・小春日和、本格的な冬に向かう前に春に似た穏やかな日和が続く
小さな春・・可愛い響きだ。
接頭語の「小」がつくとちょっとキュンとする。今の言葉では「萌える」?
「萌える」も古いといわれた。今は「エモる」
emotionalからきているらしい。萌えるにノスタルジーを加えるとエモるになるらしい。

ど~~でもいい

小学校の同じクラスに「小夜子」ちゃんがいて
素敵な名前だなあ。といつも思っていた。

・・・・

オカリナのコンサートに誘われた。小さな教会の聖堂。
自分の事を偏見に満ち満ちた人間だと自認しているので、奥様に何とののしられようとかまわないけれど


オカリナを吹く人ってなんかアヤシイ
怪しい人が指をひらひらさせながら「廃墟の鳩」なんかを吹く。
そういえばトッポ(廃墟の鳩を歌った人)も怪しかったよな。
偏見です。

で。聞いたんだけど、音が頭蓋骨に響いて音楽と一体化した心地になるんだって。
怪しい人が澄んだまなざしでのたまふ。
そっかあ・・。

 

指・ここでは「おゆび」と読みます。

 


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2022年11月 2日 (水)

自句自解35  改札機に・・



 

 「改札機に切符忘れし冬日和」
(かいさつきにきっぷわすれしふゆびより)2010・11月

 

そういえば、長い間「切符」を買っていない。
コロナで公共交通機関の利用が減ったというのもあるが
今は「切符」ではなくICカードの乗車券を使っている。
この句を作った10年以上も前は、切符やカードを改札機に入れ読み取りさせる方式だった。
ゆえに、切符の取り忘れという事が往々にして発生した。


今は改札機の四角いところにカードをタッチして「ピッ」というお許しがでると通過させてもらえる。
私が使っているのはその名もPiTaPa プリペイド方式乗車券である
ピタパ!面白いネーミング。

余談だが、その昔若い友人と街を歩いていた。
「あ!ちょっとごめん」知りあいを見かけたようだ。
二言三言言葉を交わして戻って来た。
「あの人、〇〇〇の名づけ親やねんよ」と言った。
〇〇〇がSuicaだったのかIcocaだったのか忘れたが・・
広告会社に勤める若い(私から見たら)男性だった。
それに続いて聞いた話があまりにも面白かったのでよく覚えているのだが内緒話なのでご披露できない(なら。書くなよ!やね)

話、俳句に戻ります。
季語・冬日和(三冬)
お日様の恵みを一番感じるのは冬のこんな日かもしれない。
柔らかく穏やかな日差し。それでいて冬の冷たく澄んだ空気。
お日様の心地よさにぼんやりして切符を取り忘れてしまった。電車に乗ったはいいが改札口を出る時、はて?どうしたんだっけ。同じときに作っているのが

「原発の話などして今朝の冬」
車内での会話だ。相手はM子さん。
季語・今朝の冬は立冬のこと。あの日は立冬だったんだ・・。

 


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2022年11月 1日 (火)

自句自解34  廃業の・・・



 

  「廃業の知らせ届きぬ落ち葉掻く」
(はいぎょうのしらせとどきぬおちばかく)2002・11月

 

俳句は日記だと教わった。
20年前の事なのに、あの日郵便屋さんから受け取った場面まで覚えている。

高校の同級生
関西の大学から東京に就職した。
私が東京に出張した折に一度会ったことがある。
新宿駅を出ると当時三井物産と住友ビル。「高層」という建物はその二棟しかなかった。(都庁ももちろん建っていない)
その一つに私の会社があり、仕事の終わりに紀伊國屋書店の楽譜売り場で待ち合わせた。
彼が連れて行ってくれたのは、そのビルの高い階にあるレストランだった。
「さっき私、此処から出て来てんで」と言って笑った。
ワインを飲み「私ら大人になったな」と言ってまた笑った。

お互いが家庭を持ち、数年後、彼はとある高原でペンション経営を始めた。
生涯一サラリーマンじゃなかったの?
うん。昔からの夢やってん・・
奥さんと二人でよく頑張っていたがついにペンションをたたむことになる。
それが、この句にある今から20年前の出来事である。
その後、学習塾を経営した・・・

つい先日は「いよいよシュウカツに入りました」との知らせ。
シュウカツとは終活。
住まいを小さくし、隠居三昧の暮しを目指すらしい。

そのうちにね。いつかね。と言いながら、会う機会はさほど無かった。
サラリーマン・ペンションオーナー・塾講師・隠居
どれもこれも、穏やかで心優しい彼によく似合う。

人生は長くて短い。
懐かしく、よき友F君。交流の一ページを句にしておいて良かったと思う。

 

季語 落ち葉掻く(初冬)

 


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