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2012年6月18日 (月)



 

「 湯上りの電話蛍見のさそひ」 

「洗ひ髪少し冷えきし蛍狩」

 

当地では、毎年6月10日の前後2週間、蛍が飛び交います。
車で15分も行けば、素晴らしい蛍川を見ることができます。
今年は、例年に無く蛍の数が多かったそうですが、忙しくて見に行くことができませんでした。

三好達治に蛍の美しい詩があります。

 先日、三田(さんだ)の吟行で、実際に達治がおばあさんから蛍をもらったであろう場所へ行きました。
彼は幼い頃、いわゆる「口減らし」の為、兵庫県三田の祖母の家に引き取られるのです。 

 

「祖母」         三好達治

祖母は蛍をかきあつめて
桃の実のように合せた掌の中から           
沢山な蛍をくれるのだ

祖母は月光をかきあつめて
桃の実のように合せた掌の中から
沢山な月光をくれるのだ       

 

吟行レポートは次回に廻すとして、

 

「蛍」です。

 

竹箒をさっと振り回すと蛍がいっぱいくっついてきた。
葱の中に蛍を入れて「蛍かご」にした。
蚊帳の中に蛍を放して眠った。

子どもの日の記憶はいつまでも鮮明です。

蛍はオス・メスどちらも光ります。オスはお尻の二節、メスは一節が光るので強く光るほうがオスというわけです。

日本列島の西と東では光の明滅速度(間隔)が違います。
西のほうが短いです。
これは、気温と関係があります。同じ場所でもその日の気温で光ったり、消えたりする間隔が変わります。

雨が降る前の蒸し暑い夜。最も蛍が飛び交います。
20時ごろが一番の見頃で、それを過ぎると不思議なくらい光らなくなります。

この町に住んでいると、自称、蛍博士がたくさんおられ、上記のようなことを教わります。
住民の手で川の掃除をしたり、蛍の時期が終るまでは、川の周辺の草刈もガマンガマンです。

ところが、新聞で紹介されたりすると街(都会)から人がやってきます。しかも、虫かごと網持参です。
高級料亭やホテルなどの鑑賞用でしょうか、大きな掃除機のようなものでごっそり吸い込んでいるのを目撃した人もいます。

数年前、おばかな行政が村おこしのつもりか、宣伝行動?をしました。
たんぼに提灯をぶら提げ、屋台を出しました。
蛍の飛ぶ場所を明かりで照らしたのです。

さすがに翌年からは中止になりましたが。

そういえば、今年、住宅街の桜並木でも「桜祭り」と称して行政と商工会が同様に提灯、屋台、スタンプラリー、ブラスバンドにフラダンス大会をやっていましたっけ・・

去年までは、静かな散歩道だったのに・・

街灯が増え、車のヘッドライトが増え、年々蛍鑑賞の条件が悪くなっていきます。

植田に水が張られ、青カエルの声の中に牛蛙も混ざり、
むせるような栗の花の匂い。
そして新じゃが芋の美味しい頃。

みんな、蛍と結びつく季節感です。

たった十日の命を尽くして、蛍は我々を楽しませてくれます。

 

もうじき、夫の命日です。
丁度、蛍の時期と重なります。

 

 「手囲いの蛍夫かもしれず」 
      (テカコイノホタルオットカモシレズ)

 

昨日は、お寺さんに来ていただきました。
お墓参りもすませることにしました。
長男夫婦も一緒です。グッ坊は初めてのお墓参りでした。(寝てたけど)

 


 

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俳句」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
たまたまこちらを発見しました。
私は北海道でしかも海岸育ちなので蛍はみたことがありません。
しかも現在は視覚障害なので一生見る事は出来ないでしょう。
それでも記事を拝見していると風景画目に浮かぶようです。
心温まる素敵なブログです。

投稿: 藤按 | 2012年6月18日 (月) 09時27分

しみじみいたしました。
蛍に余計な灯りは要りませんね。
こんなこと言って失礼だろうけど、
蛍の時期にご主人を偲ばれるのっていいなあと思いました。
願わくば…ですが(うちのことですよ)

投稿: ばんび | 2012年6月18日 (月) 10時30分

おたま叔母ちゃん、おこんばんわ!
コメント嬉しかったです。
ありがと〜♡
今日は思いっきり幼なじみとお話して肩の力抜きました!お口も滑らかに開き過ぎの全開です。
蛍川か〜〜、素敵ですね!来年写真撮りに行きたいわ〜♡
モコ姪生まれ変わるなら、蛍か桜がええかも。。?

投稿: モコ姪 | 2012年6月18日 (月) 17時31分

藤按さん
コメントありがとうございます。
視力を失くされているとのことですが、ブログは、どなたかアシストされる方がおられるのですか?それとも、音声ソフトですか?
もし、音声ソフトなら、困りました(笑)
ワタシの言葉はとっても、乱暴で、省略が多くて、擬音だらけです。キャッとか、ゲッとかのオンパレードです。
最大の困りごとは「関西弁」です。
かなり、きつく訛っています。へへ。

そんなブログですが、お付き合い願えたらうれしいです。
それと、もしかしたら池波正太郎ファンですか?びびびっと来ました。
ほらね。擬音が入ったでしょ。

じゃ、これからも宜しくおねがいします。

ばんびさん。
個人的な感想ですが、俳句では夫を偲ぶ句より、妻恋の句に優れたものが多いようです。
男性のほうが情が深いのではないかと思います。
おたま自身も夫の句はあまり作っていません。それなのに、たまに出句すると「わー。ワタシも早く未亡人になりたい~~」とうらやまし?がられます。
こわいわ。女性は。

モコ姪ちゃん
無理。無理。無理。
しゃべられへんし。食べられへん。
蛍や桜になるより、やっぱり人間やで(笑)
そうそう。肩ぐるぐるの、お口ポッカーンやで。で、へらへらしといてな。

さん
大変、美味しくいただきました。
ご懸念なく。


投稿: おたま | 2012年6月19日 (火) 08時36分

コメント返しありがとうございます。
読み上げには音声ソフトを使っております。
そして御推察どうり池波正太郎の藤枝梅按の大ファンです。
6年前に鍼灸師の資格を取り、就職した時に私と同姓の人がいた為、
藤按という仕事用の現時名としました。私の本名の後藤から一文字とってみましたが、
もちろん藤枝梅按の略です。鍼師の合格記念にはもってこいでした。
そちら様も梅按ファンなのですか?あれは中途で終わってしまい残念でした。
さて、私の住む札幌では、よさこいソーラン、北海道神宮祭も終わりましたがとても爽やかな初夏の風です。
ではまたお邪魔します。


投稿: 藤按 | 2012年6月19日 (火) 09時17分

藤按さん
ダンディズムを学習するのは剣客商売」を読むのが一番だと、息子達に勧めているのですが、読んでくれません。
小説家では池波正太郎が一番好きです。

投稿: おたま | 2012年6月20日 (水) 11時01分

これは・・・。言葉がありませんね(* ̄ー ̄*)

投稿: Ryoko | 2012年6月21日 (木) 15時36分

Ryokoさん
蛍もそろそろ終りのようです。
子どもたちが、川へ入って掃除をしてくれたおかげで、今年もたくさんの人が楽しまれたようです。
わが町にはきれいな川が他にもあるのですが、ある程度の生活排水が流れ込むところ(ビミョウに汚れている)の方が蛍は発生しやすいようですよ。

投稿: おたま | 2012年6月22日 (金) 07時21分

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