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2011年4月 2日 (土)

嘘をついた②



(昨日のつづきです)

 

「姉ちゃんなら、おにぎりくらい作りんしゃろうもん?」

「う・うん。・・・ばってん・・」

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

みんな、巻き寿司やら、よかおかずやらば、持って来るっちゃろ?」

・・・・・・・・・・・・・・。

 

わたしの胸が又、ドキンと音をたてました。

50年前、この国の皆が貧しかった。
だから、ハレとケを大切にしました。

お父さんのお給料日だからすき焼きを食べ、お正月だから、ご馳走をつくりました。

子どもにとってのハレの日は、遠足や運動会でした。
八百屋さんの奥の篭に鎮座しているバナナを持たせてもらいました。
ゆでたまごを大切に持って行きました。

子どものハレの日の為に、豊かとはいえない中で親は弁当を作ってくれました。

この時の、わたしはなぜか必死でした。
「ううん。みんな、おにぎりばい。そらぁ。卵焼きくらい持ってくる人はおらすばってん、みんな、おにぎりと、おこうこだけばい」

 

これが、自分の記憶する、初めての嘘です

母が関西人なので我が家では沢庵のことを「おこうこ」といいました。

「ほんなごつか?おまえも、おにぎりと沢庵だけか?」
「そらそうたい。うちもおにぎりと、沢庵だけばい!」

わたしは、本当にそれを持っていくと決意していました。

「嘘ついたら、くらっそぅ!(食らわす・叩く)」
「本当たい!」

 

Y君の心は少し動いたようでした。

「ばってん・・・」
Y君にはまだ、ハードルがありました。

「ばってん。みんな、よか洋服ば着ていくっちゃろ?」

確かに、今の子と違い親があちこち遊びに連れて行く時代ではありませんので、「遠足」といえば一大イベントで、よく、新しい服を下ろしてもらったものです。

「今、着てるのでよかとよ。ウチもこれば、着て行くったい。」といって自分の服を引っ張りました。

Y君は何か考えているようでした。

わたしはなぜか必死でした。

そんな、あほなことがあるかいっ!
いっぺんも、あんな楽しい遠足に行ったことがないなんて・・・。
弁当くらいで!服くらいで!

「来んしゃい。遠足。楽しかよ」

Y君の気掛かりはまだありました。  

 

                     (つづく)


 


 

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