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2011年2月14日 (月)

彦山権現誓助剱③



昨日のつづきです。

演目(タイトル)になっている「彦山」は福岡県・田川にある英彦山(ひこさん)のことです。

芝居の舞台になった場所を知っていることは、観劇の楽しみに奥行きを持たせてくれます。
(たとえば、「女殺油地獄」の徳庵提と野崎観音の距離感を知っていたら、堤のあたりの賑わいをイメージできます)

英彦山を知らない方でも、杉田久女の

「谺してやまほととぎすほしいまゝ」

の有名な俳句や、ここが修験の山であることを念頭に入れておくと、舞台は、深山であり、野鳥の宝庫であり、澄み渡った場所だと、イメージできます。
六助が看経の間のウグイス。
また、きこりの斧右衛門が悲嘆の涙で「ば~あさま」と呼ぶときの「こだま」の場面などです。

今回の席は「花道」の脇。少し後方。
ということは、シャリンと音がして開く芝居幕がよく見えるのです。

ということは・・お園登場(男装(虚無僧)に姿を変えた)の「内輪の足を外輪になおす箇所」がバッチリ見られるのです。

ということは・・・おたまの、一メートル横を松嶋屋が通るわけでございます。
引き込みのときは、もちろん、光線でウィンクしまくり。

この、「花道」というのはよく考えられていますね。
単なる、通路というわけではなく、
さーっと茣蓙を敷いて、お屋敷の一部になります。
緑の敷物で、あぜ道にすると、客席を含む小屋全体が深山にある里になります。

芝居によってはこれが、空間だけでなく時間の経過を表すこともあります。
幕外での芝居。すなはち、村中の通りのみを残すことでずいぶん遠くまで来たことがわかります。道行の芝居などによく見られます。
いけない。話が横道に逸れそう

ついでに、田舎家の場の装置ですが、庭先の山木戸。のれんにはワラビの図柄。縁側の踏み段は「継歯」といわれる、山から切り出してきたばかりのような大木です。庭には臼。どれをとっても、このあたりの農家の様子がよく伺えます。

そもそも、おたまが歌舞伎にはまった一等最初は、ある小道具だったのです。ハイ。森より木を見るのが好きな重箱隅子です。
(いけない。話が横道に逸れそう)

お芝居の中味のことを書こうと思ってたのにもう、こんなに書いちゃった。

見どころは言い出せばきりがないのですが、

六助「必ず礼には及ばぬぞや」
どんだけ人がええねん。

微塵弾正(タクボンに)たばかられたと知り怒りがこみ上げてくる。後退しながらポテンと腰をおとす。(ここの箇所、しっかり見たかったのにオペラグラス触ってって見そびれた、愚かなおたま)

しかし、ここは助太刀の必然性としての「怒り」と取りたくない。だって六助エエひとやもん。怒りんぼうとちゃうもん。彼は自分の「怒り」ではなく恩師への「義」として立ち上がるのでございます。パチパチ。

そして、好きな場面。
農夫六助がさらにイイ男に変身するのでございます。

出立へ気負いたつ喜び、勇み立つ気持ち、着替えのくだりは、もう奥さま気取りの、お園になった気分で、いそいそと甲斐甲斐しく、おたまも、手伝ってる(つもり)

お園。大力の大女という設定ですが、仇と思っていた相手が六助とわかり、その後の恥じらい、可愛らしさ、心浮き立つ感じがよく出ていて大変結構でした。
孝太郎さん、元々顔がすっとぼけてはるので、役どころピッタリでした。(いや、褒めてますねんよ)
仇は討てたしダーリンは見つかったし、この人が一番「結構」やったんと違いますか。

お幸。武人の妻らしい品があり、素敵でした。小判を投げつけ六助を試す場面。かっこよかったです。

来週は、夜の部に行きます
鶴屋南北の・・・きっとドロドロしてるんやろな。
うふっ 楽しみ。

毛谷村六助・仁左衛門  京極内匠(微塵弾正)・愛之助
お園・
孝太郎    お幸・竹三郎      お菊・松也
吉岡一味斎・
彌十郎         衣川弥三郎・薪車
衣川弥三左衛門・
段四郎     佐五平・猿弥



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コメント

おたまちゃんのよう噛み砕いてはる解説を読むと歌舞伎が身近に感じるわぁ~・・・・、

おたまちゃんの解説は見事で才能やでぇ、
ちと反れ話が多いのもご愛嬌で好きやわぁ~

歌舞伎のことはなんも知らんけどおたま歌舞伎はおもろいわぁ~・・・笑

投稿: ヘルブラウ | 2011年2月14日 (月) 07時26分

ヘルさん。もっといっっぱい書きたいことがあるけどね。
食わず嫌いはあきまへん。
こちらで機会があれば是非観てもらいたいなあ。東京なら行きやすいですよ、通りすがりに一幕だけでもいかがですか。関西は舞台のかかるのが少ないから悲しい。

投稿: おたま | 2011年2月14日 (月) 21時25分

ヘルさんのおっしゃる通り、本当におたまちゃんの、歌舞伎解説おもしろいよ~~。
だって、読み終わったとき、、本当のお芝居見た時見たく、心がときめいてるもん。
おたまちゃん、本当の姿は、芝居者?

投稿: こく | 2011年2月15日 (火) 04時33分

こくちゃん。歌舞伎は面白いですよ。わくわくしちゃう。がっかりする時もあるけどね、そんなときはあまり、書かない。全く書かないこともある。
仁左衛門さんは今当代一じゃないかと思っています。
同じものを何度みても面白いです。
ながい時間をかけて練りこまれているのはやっぱり、おもしろいです。

投稿: おたま | 2011年2月15日 (火) 07時29分

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