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2010年5月11日 (火)

俳句は日記・川原にて



 「桐咲いて四国三郎豊かなる」 おたま

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どういうわけだか、忘れてしまったけど、
徳島は吉野川を眺めていました。

広い川原に車を停めて

きらきら光る、水面を眺めていました。
二人の子も一緒でした。

夫が亡くなった翌年のこと
桐が咲いていたので、ちょうど今頃だったのでしょう

自分のことばかり考えていて、
父親を失くした子どもの気持ちにまで思いが至りませんでした。

/

「石投げて水切る遊び桐の花」 おたま

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男の子は口数が少ないので詳しくは知りませんが
上の子は仕事のことを、下は学校や進路のことを、
それぞれに抱えていた頃です。

三人になった家族が静かに、川を眺めていました。

午後の光がまぶしく川面に反射し
穏やかなひとときでした。やさしい風が吹いていました。

「きれいやなあ」・・・
「水っていいなあ」・・・   こんな会話を交わしました

・・・・

俳句は「日記」。自分のみほとりを詠みなさい。
と、教えられます。

下手な句であっても、自分の一句で、
あの日、あの時の景色、心情に一瞬にして立ち返ることができます。
やさしい川音。心地よく吹き渡る風。

そうそう、思い出したわ。


悪魔のように子2名がささやいた。
「おたまちゃん。(三途の川)渡るなら今やで」
「今ならお父さんに追いつけるで」
「あんまり年取って行ったら、誰だかわかってもらえないで」

「こんなきれいな川なら渡ってみようかなあ」

おっとっと。踏みとどまった、おたまでした。

もう~。思わず渡りそうになったじゃない。

ま、そんなことも思い出したりなんかしてね。

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  「夫の忌の近し柘榴の花咲いて」 おたま
 (ツマノキノチカシザクロノハナサイテ

あの日から、ずいぶん時間も経ったけど、
周りの人によくしてもらって、幸せに楽しくやってる。
川を渡るのは、もう少し先にする。

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俳句」カテゴリの記事

コメント

キラキラ光る川の面を見ていた、・・・
私もあります。思うに
おたまちゃんも、私と同じ正統な?未亡人です。
まだ記憶は新しいでしょうが、16年経つ私にも、鮮やかなものが、浮かびます。
 夫逝きて幾たび廻る桜かな 禮女
 

投稿: reiko | 2010年5月11日 (火) 08時55分

おたまちゃん(はんよりちゃんのほうがなんか若くて可愛いけんこれからこれで!)、Guten Morgen!

石投げて 水切る遊び 桐の花   おたま

いいですねっ!、まだまだ三途の川渡らんといてやぁ~
ところで今日のヘルの記事の中におたまちゃんの名前がチラッとでています。勝手にだしてすんまへん!

投稿: ヘルブラウ | 2010年5月11日 (火) 15時34分

自分だけでなく子供も同じ寂しさを味わっていたのですね。
おたまさんがあの時、川を渡らなくって良かったです。
渡っていたらこの素敵なブログに出会えなかったわけですからね。
おたまさんの周りには良い人が沢山いてこれからも愉しく過ごしていけます。
時々おセンチになるおたまさん元気出して頑張って下さい。

投稿: スマイル | 2010年5月11日 (火) 21時21分

reikoさんもおたまも「本格派」ですか。ヤッホー。
いなくなっちゃた事をどうこうとは思わないのですが、
いなくなるということは、「新たな思い出をつくれない」ということなんだなって、おもいます。
一緒にきれいなもの(桜とか)を見ることはもう無いのですものね。
ま、ウチのひっちゃんは花に興味の無い人だったですけどね。

投稿: おたま | 2010年5月11日 (火) 22時35分

えっ!ヘルさん。はなむこ募集中って、書いてくれたって?
ありがとう・・アカンアカン。
おたま、このまま朽ち果てる所存にて・・・。
とにかく今からそっちへ伺うわ。修正済みの写真を持って。

投稿: おたま | 2010年5月11日 (火) 22時45分

スマイルさんは本当に優しい方ですね。
夫を失くして得たもののひとつに、「人に心を寄せてもらうことの幸せ」を知ったということがあります。たくさんの人に励まされ、力づけてもらいました。
いつか、お返しをしたいと思っています

投稿: おたま | 2010年5月11日 (火) 22時58分

今日は一日中家に引きこもって俳句をしたりメールを書いて過ごしていました。気分転換に「60代のブログ」で検索しましたら「おたまの未亡人日記」に出会えました。時を忘れて読みすすみ、とても嬉しく元気になりました。御句、みほとりの小さなことを切り取られていて素敵ですね。共感しています。これからしばしばお邪魔させていただきますこと、どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: ちんぐるま | 2013年8月18日 (日) 17時45分

ちんぐるまさん
コメントありがとうございました。
遠いかすかな記憶の中に「ちんぐるま」のHNがあるのですが、一度コメントをいただいたことがなかったでしょうか?
記憶違いかもしれません。

俳句をなさっているのですね。
恥ずかしい限りですが時々駄句を載せています。吟行の記録としてもブログは便利です。

俳句に関しては、集中したい気持ちと力がついて行かないのとで中途半端な状態です。
でも好きだからコツコツ続けようとおもっています。

コチラのブログは終了して、あらたなURLで始めています。また遊びにおいでください。

投稿: おたま | 2013年8月18日 (日) 22時31分

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