云われれば、そうだな。
俳句に比喩や擬人法を使うのは難しいといわれます。
とくに「写生」を指導されている初心者には、とうてい使いこなすことはできません。
「摩天楼より新緑がパセリほど」 鷹羽狩行
鷹羽狩行(たかはしゅぎょう)といえば先ずこの句が挙げられるという名句です。エンパイアステートビルからセントラルパークを見下ろしたのでしょうか。
パセリ
あっ。場所は何処でもいいのです。読む人が勝手に想像していいんです。
マンハッタンと、あたくしは思っている
モダンでっしゃろ。
(俳句といえば、社寺仏閣や蛙の飛び込む池ばかりで作られるわけではありません。)
この句のすごさは、無機と有機、すなはち、人工(ビル)と自然(樹木)。垂直(ビル)と水平(公園)の組み合わせ等といわれますが。それも勝手に思っていいのです。
「高いところから下をぞいたら公園の木がまるでパセリのようだった」作者はそれだけを言っているに過ぎません。
後は読む人が目のくらむような高さや、
広大な公園の広がりや、
小さな点のような木や、
宝石のように光る緑や、
風や音や温度や湿気や
匂い(もしかしたら部屋にコーヒーの香りが漂っていたかもしれません)
を勝手に感じればよいとおもうのです。
灰色の空、灰色のビルディング。
モノクロのずっとずっと先にある新緑の「点」
見下ろしていたと思っていたけど、もしかしたら見上げていたのかしら。私は空中に浮かんで・・・
・・・・
たった十七文字の中で、五感全てを感じられる
読む人が好きなように読める・・俳句は妄想癖のあたくしに合った文芸です。
読むのはいいのだけど
詠むとなると・・・詩的センスの欠如はいかんともしがたく・・・苦しんでおります。
・・・
樹がパセリかあ・・・ポエムやなあ。
そういえば、ウチの偉大なる長兄・ミスター平凡氏も詩心のある子どもでした。まだ、3歳にもなっていなかったと思うある日、保育所の帰りにスーパーで買い物をしていたときのことです。
彼はナスビの前で立ち止まり、後ずさりをし、叫びました。
.
「かーちゃん。オットセイや !!」
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コメント
俳句ってとても奥が深いのですね。おたまさんの言葉の 数の多いのも 質の高いのも俳句から来ているのでしょう。それとも数・質とも素晴らしいので俳句が出来るのかしら?どちらにしても感服です。
先日「デジスタ」(NHK衛生2)で見た作品のことを思い出しました。宇宙から見た地球の誕生から現代のサラリーマン生活迄を3分にまとめたアニメなんです。目が点になるほど素晴らしい作品なのですが、その中で、ビルの谷間の公園の木々はパセリを実写してPC処理し大木に見せていたのです。その発想のすごさに驚いたのですが、多分その作者は俳句をやっていてそこから発想したのではないかと今は思います。
投稿: うばゆり | 2010年3月16日 (火) 11時20分
口数の多い未亡人の戯言、お褒めに預かり恐縮の行ったり来たりです。
へー、そんな番組があったのですか。
その発想絶対「パセリの句」だと、おたまも思うな。
俳句、面白いですよ、作らなくても「読む」だけの方も多いです。うばゆりさんに是非おすすめしたいです。
投稿: おたま | 2010年3月17日 (水) 17時30分